ツーエスとD800Eを両方使っているヒトというのはあまりいないだろうということで、軽く初期の雑感として書いておく。
まず俗にいう「シャープさ」については、実用上は互角。ただ両機の性格は全く違い、先鋭性が高いのは構造上当然ながらK-5IIsのほう。しかし画素数で約2倍、線数で1.4倍あるD800/D800Eは印刷原稿としての高精細さでは鼻一つ先に出ている。たぶん仕事ではより喜ばれるだろう。つまり「先鋭なK-5IIs」と「高精細なD800E」という区別が成り立つ
印象の言い合いを避けて客観的な評価が可能な表現を試みるなら、K-5IIsのJPEG撮影(吐き出しJPEG)とD800EでNEF撮影してCaptureoneで出力したものが、いわゆる等倍鑑賞での見かけで同程度のシャープさを感じる。Raw撮影同士での比較ではツーエスの方が上だと誰もが思うだろう。ただし、先鋭性だけが評価基準ではないのでそこは好み、あるいは用途で選べばよいと思う
短い期間ではあるがD800を使って一番気になったのが、後ダイヤルの位置が端に寄り過ぎていること。俺の手の大きさでは持ち替えないと操作しづらい。自然にホールドした時に親指がかかる、いわゆる「特等席」にはAF-ONボタンがある。つまりNikonユーザーのプライオリティは絞りやシャッターの調整よりもワンショットAFの作動にあるということなのだろうか。AF-ONボタンの機能についてまだよく知らないが、ワンショットAFは一般に、AF動作中ずっとボタンを押していることが多いから、別に独立ボタンでなくとも、AF-lock/AE-lockボタンの長押しとかでもよいのではないだろうか。
よいと思った点を挙げれば。まず第一に4:5のアスペクトレシオ(24x30mm)での撮影ができること。これがあると縦位置で異常に縦長過ぎるという135フォーマット(24x36mm)の欠点に悩まされず、すっきりと構図できることが多い。個人的にはD800はデジバックのかわりにビューカメラ的な用途に用いるつもりなので、むしろこのアスペクトレシオでの撮影がメインになるだろう。ファインダーに液晶でトリミングラインがでるのは親切だが、少し表示が控えめで見落とすこともあるかもしれない。もう少し強い警告の意味でLED警告灯を組込んでもいいと思う。俺は24×30メインで使うので必要ないけど。
4:5のアスペクトレシオはフィルムの6×7判のメジャーであったマミヤRB/RZに近いので、違和感なく使えるというヒトも多いだろう。D800の謳い文句にある「中判画質」というのが中判デジバックに匹敵する、という意味だとすると誇大広告もいいところだと思うが、一方で、かつて中判で撮っていたものを同じ感覚で撮れるという意味でならば、D800系はまさにロクナナ的ではあると思う。どでかい背面液晶もポラを見ている感覚で、クライアントとのコミュニケーションもスムースだった。
ライブビューのクロックもVCCとの組み合せでノブによる繰出しで使う分にはまずまず。まぁ倍くらいあるといいけど、現状でも撮像面の照度が下がる条件ではスターノイズが発生し出すので、おそらく次世代素子がでるまでは無理だろう。動画ライブビューとの違いはまだ試していない