「写真」と「撮影」

カッコ付の「写真」とはなんでしょう

「写真」という言葉は英語のPhotographの訳語ということでまずは構わないでしょう。その翻訳を巡って「写真は真など写さないのだから訳としておかしい」と主張した光画派のエピソードもよく知られるところですが、私自身は、Photo+Graphで「光画」…という考えは決してエレガントなものとはいえないと考えています

異論の余地なく、写真とは撮影して得られるものです。ここではフォトグラムは写真のうちには含めません。(フォトグラムは光画だと思います) つまり、「撮影」されたものが「写真」だと言えるでしょう。では「撮影」とはなんでしょう

「写真」と「撮影」

聞いた話によれば「撮」という漢語の文字の意味は「袋に入れる」ということだそうです。つまり、つかみどころのないものを袋に入れてtangibleにするという行為が「撮」ということで、英語の grab に相当します

次に問題になるのは「影」です。
「影」を訓読すれば「かげ」ですが日本語でかげと発語する場合はむしろ「陰」に結びつき、Shadowを意味します。ですが「影」という漢語の文字の意味は英語の image に対応するもの。つまり「撮影」というあて語の意味は、imageを袋に入れてtangibleなものとすること。実践的には、imageをその元になった存在が不可避に持つ文脈から切り離す行為、ということになります。その成果が grabbed/tangible images = photograph であり、その裏付けとなるテクノロジーが photography であるということになります

つまり、写真とはただのイメージです(謎)