今和次郎「日本の民家」再訪:伊豆大島・房総

今和次郎「日本の民家」再訪:伊豆大島・房総

伊豆大島では岡田集落に宿営し、そこを拠点に全島を巡り、各集落のなりたちや大島の伝統的な住居の営み方を調べた。途中、伊豆大島と関係の深い吉阪隆正が残した建築の現状をあわせて訪ねあるき、郷土史家の方や、地元の方々のお話を伺った。房総ではまず勝浦から入り、長生村に赴き、地理的な条件から生まれた風土、作付けの様子に始まり、現状の課題のことなどを伺った。房総というと、東京生まれの私には落花生と三ツ矢サイダーのイメージ。

伊豆大島はもちろん離島でもあり、さほどの都会化には見舞われていない。火山島ということで定住可能な土地は少なく、集落内の建築密度は高い。首都圏からの観光を産業の柱として育成していくことが課題であるようだった。対して、房総は土地は広く、敷地利用の密度は低い。首都圏からの交通網がさほど発達していないという点では大島と変わらず、どのように産業を誘致していくかはここでも課題であるように見えた。

大島の岡田に構えた宿営の窓からは三浦半島と房総半島がよく見えた。海の道から見れば、房総と大島は、黒潮通りの隣町であるので、二つを一つの地域と見立ててまとめ、ここに掲げた。